日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年11月25日相手の心に響く話し方で大切なこととは?



★プライベートレッスンを受けた大学3年生


日本話し方センターでは、1対1で話し方のトレーニングを行うプライベートレッスンを受け付けています。先日、就職活動を来年に控えた大学3年生のBさんにプライベートレッスンを行いました。Bさんはインターンシップなどの面接で最終面接に進んでいる会社もあるのですが、なかなか合格しませんでした。「面接官の質問への答えは頭に浮かぶのですが、それをうまく整理して話せないんです」とのこと。
具体的に改善したいこととして、
・言いたいことを整理して、結論から端的に話せるようになりたい
・どんな質問にも適切に回答できるようになりたい
・相手がイメージできるように具体的に話せるようになりたい
ということを挙げられました。





★Bさんの話


早速、面接でよく聞かれる質問を幾つかしてみました。
私:どういう仕事に就きたいですか?
B:ものの流れに携われる仕事、及び、経営にかかわる仕事がしたいと思っています。
私:なぜ経営にかかわる仕事がしたいのですか?
B:私は常に目的、目標、手段を意識しています。経営はそれらを内包していると思うからです。
私:ん~。では、どういう働き方をしたいですか?
B:海外を飛び回り、常にステータスを感じながら仕事がしたいと思っています。
私:Bさんがステータスを感じる要素は何ですか? ポジションですか? 仕事の中身ですか? やりがいですか?
B:ん~・・・。人にすごいと思われることでしょうか。



★Bさんの話は抽象的


多くの就活生の方にありがちなことですが、Bさんの答えも抽象的で具体性に欠けています。目的や目標を意識しているから経営に携わりたい、ということもその結びつきが今一つしっくりきません。また、なぜステータスを感じながら働きたいのか、そもそもBさんにとってステータスとはどういうものなのか、また人にすごいと思われるとは具体的にどういうイメージなのか、なぜすごいと思われたいのか、という疑問が次々に湧いてきます。このため答えを聞いた人が何となく理解はできるものの、なるほど、と納得したり共感したりできない答えになってしまっています。



★抽象的よりも大きな改善すべき点


抽象的であることも改善すべきなのですが、それよりも私が気になったのは、Bさんが感情を表に出さずに淡々と答えていることでした。
私:そうですね。Bさんの話を聞くと考えていることはわかってくるけど気持ちは伝わってこないですね。
B:はい。できるだけ感情は抑えて話すようにしているんです。
私:えっ!それはどうしてですか?
B:私の話を理解してもらえる様、できるだけ論理的に話したいと思っています。なので感情は抑えています。
私:・・・Bさん、それはちょっと違うかも知れませんよ。


Bさんは論理的にはなすために感情を抑えている、と言っていました。しかし、私は理屈やロジック、論理は人の心を動かすために使うものだと思っています。なぜならば人は判断したり納得したりする際に、必ず感情が動くからです。従って理屈では理解できていても感情的に納得できない場合、人はその理屈に納得することはまずありません。オーナー社長が会社の業績が思わしくなく、ある土地を売却しなければ倒産してしまうという場合に、その理屈はわかっていても、その土地への思い入れがとても強いために土地を売るくらいなら倒産した方がマシだ、と売却に頑として応じないことも現実にあります。また、会社がその人を採用するかしないか判断する際、この人と一緒に働きたいと思うか、ということを最も重視する、という採用担当者は多いです。人間は良くも悪くも感情の動物だということです。


従って、採用面接でも適切に感情を表すことで面接者に人柄をわかってもらえますし、話しに共感してもらいやすくなります。幸い、Bさんは私の話を理解したようで、「感情豊かに話をしないといけないんですね」と言ってくださいました。その後、何度かプライベートレッスンを行う中で、Bさんは考えていることを具体的に整理できましたし、感情を込めた音調で話すようになってくれました。その後、インターンシップにも合格できるようになった、と嬉しい報告もいただきました。



★話し方のクセを治しませんか?


人にはそれぞれクセがあるように、話し方にもクセがあります。日本話し方センターでは受講生一人ひとりの話し方のクセを見極め、それらを改善する方法を具体的にご指導しています。ぜひベーシックコース2日間集中コースの受講をご検討ください!

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